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2024.05.15
不動産×相続の基礎知識⑨~「小規模宅地等の特例」で注意が必要な二世帯住宅~

こんにちは。SAKURA財産形成承継の大原です。
不動産と相続の基礎知識を分かりやすく解説するこのシリーズ。
今回は「小規模宅地等の特例」の適用において、特に注意が必要な二世帯住宅のケースを取り上げてみます。


前回は、相続税の計算において土地の評価が大きく下がる「小規模宅地等の特例」について紹介しました。そのうち、最もよく利用されるのが親の自宅を相続した場合に適用される「居住用小規模宅地等」のケースです。

地価が高い都市部においては、親の自宅敷地に二世帯住宅を建てて住んでいるケースも多いでしょう。その場合、「居住用小規模宅地等」に当たるかどうかにはいろいろポイントがあり、注意が必要です。

二世帯住宅の形態は問わない

そもそも二世帯住宅の多くは戸建てです。そして、内部の構造や間取り、設備の仕切り方等によっていくつかのタイプがあります。

完全同居型

ひとつの建物に二世帯が同居するタイプです。玄関、キッチン、浴室、洗面などは基本的にひとつだけで、昔ながらの同居タイプといえます。建設コストは二世帯住宅としては安く抑えることができ、将来、子世帯のみになったときもそのまま使えます。

部分共用型

玄関はひとつですが、中に入ると1階は親世帯、2階は子世帯と分けて暮らすタイプです。トイレやキッチン、浴室など水回りは1階と2階それぞれに設けることもよくあります。建設コストは完全分離型よりは抑えられますが、水回りが別々になる分、完全同居型よりは高くなります。

完全分離型

外からみると1軒の家ですが、構造的に内部が完全に分かれており、玄関から水回りまですべて別々です。同居というよりは隣どうしといった感じです。建設コストは高くなりますが、プライバシーの確保がしやすく、将来は一方を賃貸に出すことも考えられます。

こうした二世帯住宅の形態について、2013年以前には、建物の内部で行き来できる構造になっていないと、「特定居住用宅地等」には当てはまらないとされていました。同じ敷地に一棟の建物として建てられていても、玄関や内部がすべて分離した完全分離型になっていると、その土地は「特定居住用宅地等」には当たらなかったのです。

しかし、2013年からは建物の内部で行き来できるかどうかといった構造の問題ではなく、建物を区分所有登記しているかどうかで、「特定居住用宅地」に当てはまるかどうかを判断することになっています。

ただし、同じ敷地内であっても建物が別々(2軒)になっている場合は当然ですが対象にはなりません。親の家に同居しているという条件を満たさないためです。

注意が必要なのは建物の登記

現在、二世帯住宅が「小規模宅地等の特例」における「特定居住用宅地」にあたるかどうかは、建物の所有権と登記がどうなっているかがポイントです(土地の所有権については親が単独所有であるのが前提)。

具体的には、
①建物が親の単独所有(単独登記)の場合
②建物が親と子の共有(共有登記)の場合
③建物が親と子の区分所有(区分所有登記)の場合
という3つのケースが考えられます。

まず、①建物が親の単独所有(単独登記)の場合、他の要件は別として基本的に「特定居住用宅地等」に当てはまります。建物内部で行き来ができるか、完全分離で行き来ができないかは関係ありません。

次に、②建物が親と子の共有(共有登記)の場合です。共有とは、ひとつの物の所有権を複数の人が持つことです。共有の対象となる物を共有物、共有関係にある人を共有者といいます。共有である土地の登記では、共有者の持分割合が記載されます。

この場合も、他の要件は別として基本的に「特定居住用宅地等」に当てはまります。共有の場合、共有者がそれぞれ建物のどの部分を所有しているかといった区別はありません。完全分離型であろうと、1棟の建物全体が亡くなった人(被相続人)の居住していた建物と取り扱われ、また子はその建物で同居していた親族となります。

これらに比べて注意が必要なのが、③建物が親と子の区分所有(区分所有登記)の場合です。

区分所有とは、分譲マンションのように壁や床、天井で他の部分から独立した各住戸をそれぞれ所有することです。この権利が区分所有権で、登記もできます。

二世帯住宅でも、例えば壁によって縦に区分したり、1階と2階で区分(2階は外階段であがる)したりした完全分離型であれば、区分所有が可能です。

ところが、二世帯住宅で建物を区分所有登記にすると、土地全体が「小規模宅地等の特例」における「特定居住用宅地等」に当たらなくなってしまいます。

なぜなら、子の居住部分(区分所有部分)の敷地については、そもそも親(被相続人)が居住していた土地ではありません。また、親(被相続人)の居住部分の敷地は「被相続人が居住していた土地」ではありますが、それを相続する子は被相続人の「同居親族」とはみなされません。さらに、すでに自宅があるので前回触れた非同居親族で「家なき子」の要件にも当たりません。

二世帯住宅の相続にはこうした難しい点があるので、相続に詳しい専門家に早めに相談するのがよいと思います。

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