アイコンCONTACT

column

2023.06.19
そもそも相続とは何か?

こんにちは。SAKURA財産形成承継の大原です。

今回から随時、不動産と相続の基礎知識を分かりやすく解説したコラムをお届けします。

まずは「そもそも相続とは何か?」です。

相続は誰にでも起こる身近な問題

「相続」と聞いてみなさん、どんなイメージをお持ちでしょうか。「自分たちには関係ない話」「お金持ちにしか関係ないのでは」といった人が多いかもしれません。

しかし、人が亡くなると必ず付いてくるのが「相続」です。日本では昨年、140万人以上の方が亡くなりました。つまり、140万件以上の相続が発生しているのです。それなのになぜか自分ごととして感じられない。

それはおそらく「相続=相続税」という印象があるからでしょう。確かに相続のうち相続税がかかるケースは2021年で9.3%でした。また、10年ほど前までは5%未満だったのです。「相続はお金持ちの問題」というイメージもあながち間違いではありませんでした。

とはいえ実際には、相続税がかからなくても相続財産をどう分けるかで相続人どうしがもめることは少なくありません。高齢化が進む日本では今後も死亡件数は年々増えていくでしょう。

「相続」は誰にでも起こる身近な問題になりつつあるのです。

相続は死亡によって開始する

「相続」は法律的にいうと民法に定められた制度です。条文では次のようになっています。

(相続開始の原因)

第882条 

相続は、死亡によって開始する。

(相続の一般的効力)

第896条 

相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。ただし、被相続人の一身に専属したものは、この限りでない。

相続の対象となる主な財産

プラスの財産 マイナスの財産
・現金、預貯金、外国通貨
・有価証券(株式、投資信託、公社債等)
・動産(車、家具、貴金属、骨とう品、船舶、飛行機等)
・不動産(土地、建物、山林等)
・知的財産権(特許権、著作権等)
・債権(売掛金、貸付金、立替金等)
・借家権、借地権
・仮想通貨
・慰謝料請求権、損害賠償請求権
・電話加入権等
・借金
・買掛金
・未払金(経費、税金、家賃、慰謝料、損害賠償等)
・保証債務
・預り金(敷金、保証金等)

そうしたケースを避けるには、「相続の放棄」の手続きが必要です。相続が開始されたことを知った時から3か月以内に家庭裁判所に申述することにより相続放棄をすることができます。

3か月をすぎると「単純承認」といってプラスとマイナスどちらの財産も相続することになります。

(相続の承認又は放棄をすべき期間)
第915条 
相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から三箇月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。ただし、この期間は、利害関係人又は検察官の請求によって、家庭裁判所において伸長することができる。

なお、被相続人の財産といっても「被相続人の一身に専属したもの」は相続の対象になりません。具体的には、明文の規定があるものと、規定はないものの一身専属権とされるものがあります。ちょっとややこしいですが、一身専属権とされるものであっても、一定額の給付請求権として具体化していた場合は一身専属性が消滅し、相続が可能になります。

明文の規定があるもの

  • 代理権
  • 使用貸借における借主の地位(貸借権は相続可能)
  • 雇用契約上の地位
  • 組合員の地位
  • 配偶者居住権
  • 配偶者短期居住権       など   

規定はないが一身専属権とされるもの

  • 婚姻費用請求権
  • 扶養請求権
  • 生活保護法に基づく保護受給権       など

いざ相続となって慌てないように

繰り返しになりますが、相続は被相続人が亡くなるとそのまま自動的に開始します。ところが日本では親が高齢になってもどんな財産を持っているのか、その中にプラスの財産とマイナスの財産がどれくらいあるのか、相続人になる可能性のある親族(子や窓など)がほとんど知らないというケースが少なくありません。

これからの時代、相続は結婚や出産などと同じく誰にでも起こるライフイベントのひとになるはずです。 だからこそいざ、その時になって慌てないように、なるべく早い段階から事前の準備や親族間での話し合いが重要になるのです。

pagetop