column コラム
2024.12.30
住宅ローンを相続したら、最初に知っておいて欲しいこと
こんにちは、SAKURA財産形成承継の大原です。
突然の相続で、ローンの残った不動産を引き継ぐことになったけれど、どうすればいいの?そんな不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。
実は、不動産相続とローンの問題は想像以上に複雑です。しかし、正しい知識を持ち、適切な対策を講じていれば、不必要なトラブルを回避できます。
今回は、不動産相続とローンについて、基本的な知識から具体的な対処法までを、わかりやすくご説明します。
ローン付き不動産相続の基本
まず、相続人には3つの選択肢があります。
- 単純承認:プラスもマイナスも全て相続する
- 限定承認:プラスの財産の範囲内でマイナスを引き継ぐ
- 相続放棄:プラスもマイナスも一切相続しない
このうち、手続きが複雑になりやすい限定承認を選ぶ方は少なく、相続放棄の申述受理件数が年間約28万件あるのに対し、限定承認は年間約700件程度にとどまります(令和5年司法統計年報)。
単純承認は申述不要のため正確な件数はわかりませんが、多くの相続がこの形で行われていると考えられます。
「家をもらった人がローンも自動的に相続する」は間違い
「住宅ローンは家をもらった人が自動的に全額相続する」と思っている方も多いのですが、これは誤解です。
実は、亡くなった方(被相続人)の借金は、住宅ローンであっても、原則として法定相続人が法定相続分で引き継ぐことになっています。
被相続人の配偶者とその長男、次男で、住宅と1,000万円の住宅ローンの相続を行う場合を考えてみましょう。
この場合、仮に遺言書等で住宅を長男に引き継ぐと記載されていても、住宅ローンについての記載がなければ、法律上は以下のように借金が配分されます。
- 配偶者:500万円
- 長男:250万円
- 次男:250万円
しかし、これでは家を相続しない人まで借金を背負うことになってしまいます。そこで重要になるのが、遺産分割協議による相続人間の合意です。
遺産分割協議の重要性
遺産分割協議とは、相続人全員で遺産の分け方を決める話し合いのことです。この協議の結果を書面にまとめたものを遺産分割協議書といいます。
住宅ローンの承継に関する合意も、この協議で決めることができます。
例えば、3,000万円の住宅ローンが残る5,000万円相当の不動産を長男が相続し、次男と三男にそれぞれ1,000万円の現金を渡すといった具合です。
ただし、この協議には全員の合意が必要で、不公平な分割は後々のトラブルの原因になる可能性があります。
また、相続税の申告期限(相続開始を知った日から10ヶ月以内)までに協議を終えなければならないため、早めの対応が重要です。
住宅ローンの引き継ぎには「債務引受」が必要
遺産分割協議の内容に基づいて住宅ローンを引き継ぐには、相続人が債務引受を行う必要があります。
これには金融機関の承諾が必要で、相続人の収入や返済能力などが審査されます。
具体的な手順は以下の通りです。
- 相続人が金融機関に相続の事実を報告
- 金融機関から必要書類(戸籍謄本、遺産分割協議書など)の提出を求められる
- 債務引受の申し込みを行う
- 金融機関による審査(収入証明書などの提出が必要)
- 承諾が得られれば、債務引受契約を締結
審査で承諾が得られない場合は、他の相続人との連帯債務にするなどの対応が必要になることもあります。
また、返済が困難な場合は金融機関との交渉も重要です。
例えば、月々の返済額を減額し返済期間を延長するなどの条件変更が可能な場合もあります。状況によっては、住宅ローン借り換えなども選択肢となるでしょう。
専門家のサポートの重要性
ローン付き不動産の相続には、税務・法務・不動産といった様々な専門知識が必要です。
そのため、税理士、弁護士、不動産専門家など、各分野の専門家のサポートを受けることが非常に重要です。
例えば、相続した不動産に多額の住宅ローンが残っているというようなケースです。
この場合、一見すると不動産の価値から残債務を差し引いた額が相続財産の価値のように思えますが、実際の相続税の計算はより複雑です。
そのため、専門家のサポートがなければ、予想外の高額な相続税が課される可能性があるのです。
特に相続開始から3ヶ月以内に相談することで、相続放棄の選択肢を残したまま対策を検討できるなど、早期の相談には大きなメリットがあります。
将来の税負担や管理コストを見越した判断をするためには、早めに専門家に相談することをおすすめします。
まとめ
ローン付き不動産の相続は複雑で、一筋縄ではいかない問題です。
しかし、ここで紹介した基本的な知識を押さえ、専門家のアドバイスを受けながら適切に対応することで、多くの問題を回避し、スムーズな相続が可能になります。
SAKURA財産形成承継株式会社では、各分野の専門家によるローン付き不動産の相続のサポートを含めた幅広いサービスを提供しています。
一人ひとりのお客様に合わせて最適な解決策をご提案いたしますので、お悩みの方はぜひ一度当社のお問い合わせフォームまでご相談ください。