column コラム
2024.12.15
相続税が払えない?困った時の6つの対処法
皆さん、こんにちは。SAKURA財産形成承継の大原です。
突然、相続が発生したと思ったら、高額な税金を請求され、途方に暮れてしまっている……。そんな話は珍しくありません。
税金の滞納が続けば、国税庁から財産の差し押さえが言い渡される可能性があります。
どの財産を差し押さえるかは、徴収職員の裁量次第。
そのため、「家族の思い出が残っている家だから残して欲しい」「先祖代々の土地だから差し押さえはしないで欲しい」といった個別の希望は聞き入れられません。
今回は、こうした事態をできる限り避けるための、「相続税を払えない場合の対処法」をご紹介します。
皆さんの相続税に対する不安を少しでも和らげ、適切な対策を講じるきっかけとなれば幸いです。
相続税が払えない場合の主な対処法
延納制度を活用する
相続税を含む国税は一括払いが原則です。しかし一定の条件を満たすことで、相続税を分割して、毎年少しずつ払うことが可能になります。これを延納制度と呼びます。
<延納制度を利用するための条件>
- 相続税額が10万円を超えている
- 金銭で納付することが困難な事由がある
ただし、延納制度を利用する場合、利子税を払わなければなりません。
利子税率は各年の特例基準割合(基準割合に年1%の割合を加算した割合)を基に計算され、市場金利に連動して毎年変動します。
最新の利子税率や計算方法については、国税庁のウェブサイトでご確認することができます。
延納期間は、相続財産に占める不動産等の割合によって5年から20年まで。特定の森林については40年まで延長可能です。
延納申請は、納期限または納付すべき日(延納申請期限)までに行わなければなりません。
通常、延納期間中は担保の提供が必要となりますが、延納税額が100万円未満で、かつ延納期間が3年以下の場合は不要です。
物納制度を利用する
相続した財産で相続税を納付することのできる制度を物納制度と呼びます。
金銭による納付が難しく、かつ延納制度を活用しても納付が困難な場合に限り認められる選択肢です。
物納の対象となる財産には制限があり、以下の1〜3の順位で物納が認められます。
- 国債、地方債、上場株式、不動産等の換金が簡単なもの
- 非上場株式等の換金性がやや劣るもの
- 動産、抵当権付不動産等の換金性が劣るもの
物納申請には厳格な要件があるうえ、申請のための判断・準備に時間がかかるため、この制度を実際に利用するかどうかも含め、専門家に相談しながら慎重に検討する必要があります。
不動産を売却する
相続財産の中に不動産がある場合、その売却も一つの選択肢です。
特に、被相続人が住んでいなかった不動産や、維持費がかかる不動産は売却の候補となりやすいでしょう。
相続税の申告期限は、相続開始を知った日から10ヶ月以内。この日までに不動産を売却することができれば、相続財産の税金の支払いに充てることも可能です。
ただし、急いで売却すると適正価格よりも安く売却してしまう可能性もあるため、慎重に検討する必要があります。
借入金での対応
相続税の支払いのために借入を行うことも一つの道です。選択肢としては金融機関からの借入や、親族からの借入などが考えられます。
金融機関からの借入の場合、相続税額や返済能力などを考慮して融資が行われます。
一方、親族からの借入は柔軟な対応が可能ですが、後々のトラブルを避けるためにも、きちんとした契約書を作成する必要があります。
借入を行う際は、返済計画をしっかり立てることが重要です。将来的な収入の見込みや、相続した資産の活用方法なども含めて総合的に検討しましょう。
遺産分割協議による納税資金の調達
相続人全員の合意のもと、遺産分割協議を行い、納税資金分だけを先に分割して相続することも可能です。
例えば、相続税の支払いが必要な相続人に、現金や換金しやすい資産を優先的に相続させるなどの方法があります。
この方法のメリットは、相続人の間で柔軟に対応できることですが、以下の点に注意が必要です。
- 相続人全員の合意が必要
- 公平性を欠く分割は将来のトラブルの原因になる可能性がある
- 一部の遺産のみを先に分割する場合、残りの遺産についても期限内に分割協議を完了させなければならない
- 遺産分割協議に時間がかかり、相続税の納付期限に間に合わない可能性がある
遺産分割協議は相続人間の利害関係が絡む複雑な問題であるため、専門家の助言を受けながら進めることをおすすめします。
相続放棄
どうしても相続税の支払いができないうえ、相続財産に借入金等が多く、債務超過を起こしている場合や、相続によって不利益を被る可能性がある場合には、「相続放棄」という選択肢もあります。
相続放棄をすると、初めから相続人でなかったものとみなされ、相続税の支払い義務もなくなります。
ただし、相続放棄には以下の点に注意が必要です。
- 相続人が相続開始を知った時から3か月以内に家庭裁判所に申し立てする必要がある
- 一部の相続財産だけを放棄することはできない(全部放棄のみ)
- 相続放棄をすると、プラスの財産も相続できなくなる
相続放棄は重大な決断を伴うため、専門家と相談しながら慎重に検討するようにしましょう。
まとめ
相続税の問題は非常に複雑で、個々の状況によって最適な対処法が異なります。
また、税制は頻繁に改正されるため、あらかじめ最新の情報を把握しておかなければなりません。
そのためには、国税庁のウェブサイトで法令を確認したり、最寄りの税務署の無料相談窓口を利用したりする必要があります。
しかし仕事や家事・育児などに追われながら、これらを自力でこなすのは簡単なことではありません。
手続きをスムーズに進めたい、後悔のない選択をしたいと考えるのなら、税理士や弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。
SAKURA財産形成承継株式会社では、不動産売買・管理から資産形成、相続対策まで、各分野の専門家による幅広いサービスを提供しています。
一人ひとりのお客様に合わせた、最適な解決策をご提案いたしますので、お悩みの方はぜひ一度当社のお問い合わせフォームまでご相談ください。