column コラム
2024.11.16
不動産相続と遺言書———正しい作成方法と注意点
皆さん、こんにちは。SAKURA財産形成承継の大原です。
自分の死後、自分の大切な人たちのために、あらかじめ遺言書を書いておきたい。そんな想いを抱いておられる方はたくさんいらっしゃいます。
この遺言書には、法的に3つの種類があるのをご存知でしょうか。すなわち「自筆証書遺言」「秘密証書遺言」「公正証書遺言」です。
このうち、自筆証書遺言と秘密証書遺言は、遺言者(遺言を遺す方)が自由に作成できる反面、ルールに沿った書面になっていないと法的に無効になるなどのリスクがあります。
せっかく遺言を準備しておいたにもかかわらず、死後、相続トラブルが起きたり、思ったような相続が行われないというのは悲しいもの。
そこで今回のコラムでは、主に自筆証書遺言について、基本的な作成手順と注意点について紹介します(秘密証書遺言を作成される方はごく少数のため)。
自筆証書遺言作成の4ステップと注意点
自筆証書遺言とは、遺言者本人が自筆によって作成する遺言書です。この遺言書は、基本的に次の4つのステップに沿って作成していきます。
- 財産目録を作成する
- 相続内容を決める
- 遺言書を書く
- 遺言書を封筒に入れ、封印をする
各ステップの概要と注意点について、1つずつ見ていきましょう。
財産目録を作成する
最初のステップは、財産の種類や金額をまとめた財産目録の作成です。
この書類は、遺言書が法的な効力を持つために必須であるとともに、遺言書を作成するにあたって自身が所有する財産を把握するためにも役立ちます。
また、財産目録には財産の存在を証明できる資料の添付も必要です。
預貯金については通帳のコピーを、不動産については登記事項証明書といったように、財産の内容が証明できる資料を添付します。
なお、財産目録は自筆ではなく、Wordなどの文書作成ソフトを使用しても構いません。
ただし、財産の存在を証明できる資料も含め、自著による署名・捺印がなければ正式な書類として認められません。くれぐれも忘れないように注意しましょう。
相続内容を決める
次のステップで行うのは、相続内容の決定です。財産目録に挙げた財産のうち、どの財産を、誰に、どれくらいの割合で相続させるのかを、具体的に決めていきます。
この際、遺言執行者つまり遺言の内容に基づいて各種手続きを進める人物も決めておくと、相続発生時にスムーズです。
未成年等を除く相続人(財産を受け取る人)の中から選出することもできますし、弁護士や司法書士、行政書士等の専門家へ依頼することも可能です。
遺言書を書く
ここまで決まれば、いよいよ遺言書の作成に移ります。遺言書は、
- 全文
- 日付(年月日)
- 署名(捺印も必要)
全てを手書きで書く必要があります。また法的な文書として、できるだけ正確に内容が伝わるよう、次のポイントに注意しましょう。
- 10人中10人が読める、はっきりとした丁寧な字で書く
- 財産内容は財産目録・資料と一致するよう正確に書く
- 相続人の名前は略称・愛称などは使わずに、正しい表記で書く
- 丈夫な紙、油性のペンなどを使って書く
なお、間違えた場合でも、法律で定められた以下の手順で修正すれば書き直す必要はありません。
- 訂正部分を「二重線」で消す
- 正しい内容を「吹き出し」で書く
- 余白部分に「○字削除、○字加入」と書く
- 署名・捺印をする
この修正方法が間違っていると、遺言書そのものが無効になる恐れがあります。そのため、万が一に備え、はじめから書き直すことをおすすめします。
遺言書を封筒に入れ、封印をする
自筆証書遺言は一般的に、遺言者自身で保管します。
ですから、公的な機関等で保管する場合と比べ、どうしても偽造・改ざん、紛失のリスクが高くなってしまいます(所定の手続きを行えば、法務局で保管することも可能)。
このような事態を防ぐため、遺言書は封筒に入れ、作成した年月日を記入のうえ、署名・捺印、割印をして保管しておくようにします。
自筆証書遺言のメリット・デメリット
以上の手順で作成する自筆証書遺言ですが、他の遺言書と比較すると次のようなメリット・デメリットがあります。
自筆で遺言書を書く際は、こうした特徴を理解したうえで作成にとりかかるようにしましょう。
メリット
- 手数料などが不要
- 任意のタイミングで修正・作り直しが可能
- 遺言書があることや、遺言書の内容を秘密にできる
自筆証書遺言のメリットは自由度です。
公証人や公証役場といった専門家・公的機関が関与しないため、遺言者の一存で修正・作り直しをしたり、遺言書の存在や内容を秘密にしたりすることができます。
デメリット
- 盗難・紛失のリスクがある
- 遺言書の内容が執行されるまでに時間がかかる
- 無効になるリスクがある
自筆証書遺言のデメリットはリスクです。
遺言者自身で保管をする場合は、盗難・紛失のリスクが、遺言者自身で作成をする場合は、内容の不備等によって無効になるリスクがあります。
また、遺言書を発見した遺族は、その場で開封せず、家庭裁判所で遺言書の内容・状態の確認を受けなければなりません(「検認」と言います)。
したがって、他の種類の遺言書に比べて、遺言書の内容が執行されるまでに時間がかかります。
まとめ
遺言書と一口に言っても、法的な効力を持たせるためには、定められたルールをきっちりと守った書面を作成しておかねばなりません。
また、遺言書の内容によってはいたずらに相続を複雑にしてしまう可能性もあります。
そのため、遺言書を作成する際は、専門家にサポートを依頼するのが確実です。
SAKURA財産形成承継は、不動産売買・管理および資産形成と次世代への承継・相続のプロフェッショナルとして、各分野の専門家と連携し、ワンストップで遺言者様のお悩みを解決できる体制を整えています。
遺言書についてお悩みの方は、ぜひ一度お気軽に、当社のお問合せフォームまでご相談ください。