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2025.07.31
築古物件を収益化するには?「特化型リノベーション」のすすめ

皆さん、こんにちは。SAKURA財産形成承継の寉岡です。

「築古の収益物件を所有しているけれど、なかなか入居者が決まらない」
「リノベーションしても近隣の新築物件と差別化できない」

など、弊社では築古物件の有効活用についてのご相談を多くいただきます。

実際に、築古物件オーナーの多くが共通して抱えているのは、空室率の高さと入居期間の短期化、近隣の新築・築浅物件との競争激化といった課題です。

しかし、実は築古物件だからこそできる差別化戦略があり、特定のターゲットに絞った「特化型リノベーション」で高い収益性を実現している事例が数多くあります。

今回は築古物件の新たな可能性を引き出す、一部の人に強く求められているニーズ(ニッチ需要)の掘り起こし方と、具体的なリノベーションのアイデアについて、実例を交えながらわかりやすくご説明します。

注目すべき5つのニッチ需要と具体的な戦略

成功のための3つのポイント

特化型リノベーションを成功させるには、以下の3つのポイントが重要です。

「誰のためのリノベーションか」を明確に年齢、職業、ライフスタイルを具体的に想定
徹底したニーズ調査そのターゲットは住まいにどんな機能や設備を求めているかを把握する
コストと効果のバランスリノベーションにいくらかかり、そのコストが何年で回収できるかを計算しておく

これらのポイントを踏まえ、現在注目されている4種類のニッチな需要と、それらに対して効果的なリノベーション戦略をご紹介します。

【事例1】シニア向け安心・快適住宅

ターゲット: 60代以上の単身・夫婦世帯

高齢化社会の進展により、シニア向け住宅の需要は年々高まっています。しかし、単にバリアフリーにするだけでは不十分。

シニアの方々が本当に求めているのは、安心して暮らせる環境と、将来への不安を軽減できる仕組みです。

具体的な改修内容

  • バリアフリー設計(段差をなくす、手すりを設置する)
  • 見守りシステム・緊急通報装置(※)の導入
  • 温度差を抑える部屋の壁や窓へのリフォーム
  • 大きな文字表示の設備・スイッチ
  • 近隣医療機関との連携サービス など
    ※ボタンを押すと、家族や緊急連絡先につながる装置

期待できるメリット

最大のメリットは、長期入居による安定収益が確保できることです。

シニアの方は一度気に入った住環境から住み替える頻度が低いため、入居期間の長期化が期待できます。

また、高齢者特有のニーズに応えることで明確な差別化を図れ、家族からの信頼獲得による紹介効果も期待できます。

さらに、住み替え頻度の低さは管理コストの削減にもつながります。

【事例2】在宅ワーク完全対応型住宅

ターゲット: リモートワーク中心のIT関係者・フリーランス

コロナ禍を経て、在宅ワークは一時的なトレンドではなく、働き方のスタンダードになりました。

しかし、多くの賃貸物件は在宅ワークに最適化されておらず、「仕事がしやすい住環境」を求める層のニーズは高まり続けています。

具体的な改修内容

  • 防音性の高いワークスペース設置
  • 高速インターネット回線(1Gbps以上)完備
  • 複数モニター対応の電源・配線計画
  • 24時間利用可能な共用ワークラウンジ(マンションの場合) など

期待できるメリット

在宅ワーク需要が高まっている中で、競争優位性を確保できます。

仕事環境を重視する層は住まい選びの際に妥協しない傾向があるため、生産性向上につながる環境を提供することで高い満足度と長期契約が期待できます。

また、一般的な住宅では対応困難なニーズに応えることで、明確な差別化を実現できます。

【事例3】ペット共生型住宅

ターゲット: 大型犬・多頭飼いの愛犬家

ペット可物件は多くありますが、「ペットと本当の意味で快適に暮らせる」物件は限られています。

特に大型犬や多頭飼いに対応した物件は供給が圧倒的に不足しており、ニッチ市場の中でも比較的大きな市場となっています。

具体的な改修内容

  • 滑りにくい床材(コルクタイル等)への変更
  • ペット専用の足洗い場設置
  • 傷・汚れに強い壁材の使用
  • 室内ドッグラン(広いリビング)の確保
  • ペット用品収納スペースの充実 など

期待できるメリット

ペット可物件の中でも希少性の高い大型犬対応により優位性を確保できます。特に責任感の強い飼い主層を獲得することができれば、トラブル率の低減も期待できます。

ペットとの快適な暮らしを重視する層から高い評価を得られるため、敷金・礼金等の条件面でも有利に契約を進めやすくなります。

【事例4】外国人駐在員向け和モダン住宅

ターゲット: 日本文化に興味のある外国人駐在員・研究者

海外から日本に来る外国人(観光客や駐在員など)によるインバウンド需要の回復とともに、日本文化を体験したい外国人向けの住宅需要も高まっています。

単なる利便性だけでなく、文化的な価値を求める層をターゲットとすることで、独自のポジションを確立できます。

具体的な改修内容

  • 畳スペースや床の間・障子などを取り入れたデザイン
  • 多言語対応の設備説明・サポート
  • 高さや設備(オーブンなど)に配慮したキッチン
  • 家具・家電完備
  • 短期契約対応 など

期待できるメリット

企業契約を結ぶことができれば、収入の安定性を確保できます。

日本文化への興味から物件への満足度が高く、文化的価値を付加した高付加価値物件として差別化を図れます。

また、インバウンド需要回復に伴う将来性も期待できます。

税務・法務面での注意点

特化型リノベーションを実施する際には、以下の税務・法務面での注意点があります。

これらの判断は専門的な知識が必要なため、税理士、建築士、法務の専門家との連携が必要不可欠です。

税金に関する注意点

リノベーション工事にかかった費用は、税金の計算上「修繕費」と「改良費」のどちらに分類されるかによって、税務上の取り扱いが大きく変わります。

「修繕費」の場合は、その年の経費として一度に計上できますが、「改良費」の場合は何年かに分けて経費計上することになります。

特化型リノベーションでは工事費用が高額になることが多いため、税金の負担と実際の収益回収のタイミングを考慮した計画が重要です。

法律に関する注意点

今回ご紹介したような特化型の設備を導入した場合、入居者にその使い方や注意点をきちんと説明する義務があります。

例えば、シニア向け住宅の「緊急通報装置」や「見守りシステム」、在宅ワーク対応住宅の「防音室の換気システム」、アーティスト向け住宅の「防音設備の操作方法」、ペット共生住宅の「ペット専用設備の使用ルール」などです。

これらの設備は一般的な賃貸住宅にはないため、使い方の説明が不十分だと故障やトラブルの原因になります。

また、入居者に何かあった場合の責任についても、事前に明確にしておく必要があります。

建築・消防に関する注意点

建物の用途を変更したり特殊な構造にする場合は、建築基準法に適合しているかの確認が必要です。

建築基準法とは「部屋の広さ」「天井の高さ」「避難経路」などを安全に住めるように定めた法律です。

また、防音室を作ったり特殊な構造にする場合は、消防法の基準もクリアしなければなりません。工事前には近隣住民への説明も行い、後々のトラブルを防ぐことが大切です。

まとめ

築古物件の特化型リノベーションは、単なる「古い部分を新しくする」のではなく、「その物件だからこそできる新しい価値を作り出す」ことです。

ただしそのためには、不動産市場の流れを読む力、建築や設計の知識、税金や法律の理解など、様々な専門知識が必要になります。

SAKURA財産形成承継株式会社では、築古物件の特化型リノベーションを含めた資産活用について、税理士、建築士、法務の専門家がチームとなって、総合的なサポートを行っています。

「所有している築古物件をどう活用すればよいかわからない」「特化型リノベーションに興味があるが、何から始めればよいかわからない」といったお悩みをお持ちの方は、ぜひ一度当社のお問い合わせフォームにご相談ください。

お客様の物件の立地や投資の目標に合わせて、最適な活用方法をご提案いたします。

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