column コラム
2026.04.30
不動産管理の“見えないリスク”とは?火災・災害・訴訟から資産を守る実践マニュアル

皆さん、こんにちは。SAKURA財産形成承継の寉岡です。
かつては「不労所得」の象徴として語られてきた賃貸経営。しかし今となってはとても緻密な経営判断の連続が求められる「事業」へと姿を変えているのが実情です。
にもかかわらず、多くのオーナー様は収益性・稼働率を気にされる一方で、火災、自然災害、あるいは法的な紛争といった「負のリスク」への対策を後回しにされる傾向があります。
事実、ある調査では保有物件の事故に対して「危機感がない」と回答したオーナーは約5割に達しており、危機への認識と実際の行動の間には深刻なギャップが生じています。
この「問題が起きてから考える」というスタンスは、現在の日本の法律や経済環境下では極めて危険なギャンブルと言わざるを得ません。
というのも、2020年の民法改正により、設備故障時の「賃料の当然減額」が明文化され、さらに建物の管理瑕疵による損害賠償額は、1億円を超える規模にまで膨れ上がるケースも見られるからです。
もはや火災・災害・訴訟などのリスクは「運が悪ければ起きること」ではなく、対策を怠れば「必然的に資産を食いつぶす爆弾」となっています。
そこで今回は、不動産管理の現場でプロが目の当たりにしている「見えないリスク」を、最新の統計データと法律に照らし合わせて解説します。
また管理の本質は、単なる家賃回収ではなく「損失の回避」にあるという視点から、皆さんの資産価値を長期にわたって守り抜くための実践的な仕組みについてもお話できればと思います。
不動産管理の3大リスク

不動産管理におけるリスクは多種多様ですが、ここでは「見て見ぬふりをされがちなリスク」として「火災」「自然災害」「訴訟」の3つにフォーカスします。
重要なのはこれらが管理の質という一点において密接に関わっているという点です。
火災リスク:設備劣化と電気系統の盲点
消防庁の発表によれば、2024年の建物火災の出火件数は2万974件に上り、その56.5%が住宅で発生しています。出火原因の内訳を見ると、
- こんろ(14.7%)
- 電気機器(8.2%)
- 配線器具(6.7%)
※カッコ内は「建物火災」における構成比
といった電気系統のトラブルが上位を占めています。
特に知っておいて欲しいのは、これらの電気火災の多くが「保守不備」や「自然劣化」が原因となって起きているということです。
天井裏の配線やコンセントの劣化といった「見えない場所」でのトラブルは、オーナー様の目視だけでは発見が難しいうえ、一度発生すれば建物全体が焼けて失くなってしまうだけでなく、隣家への延焼による巨額の賠償責任を負う可能性もあります。
自然災害リスク:エリア特性が資産価値を押し下げる
日本において自然災害は回避不能なリスクです。事実、2026年4月20日には、三陸沖を震源地とするマグニチュード7.7の地震が発生。各地を大きな揺れと津波が襲いました。
こうした災害については、直接的な被災以外にも土地・地域が持つ特性に基づく「被災する可能性」の影響も無視できません。
というのも、2022年の日本銀行のレポートによれば、ハザードマップで洪水や土砂災害のリスクが指摘されているエリアでは、地価が住宅地で約11.9%、商業地では約18.9%押し下げられるというデータが出ているのです。
また、気候変動によって豪雨の被害が深刻化してきたことで、以前は安全とされたエリアでも浸水リスクが目に見えて高まっています。
実際に浸水が起きた際の物理的な損傷に加え、「災害リスクの高い物件」として見られることで「入居率の低下」や「売却価格の下落」といった損失が生まれる可能性も十分あります。
訴訟リスク:入居者事故と法改正への未対応
2020年の民法改正は、オーナーの法律上の責任をより重いものにしました。
賃料の当然減額
設備が故障して使えなくなった場合、入居者の請求がなくとも、使用できない割合に応じて賃料が「当然に」減額されるルールへと変更されました(民法611条)。
保証契約の無効
個人の連帯保証人を立てる際、契約書に「極度額(保証の限度額)」を明記しなければ、保証契約そのものが無効となります(民法465条の2)。
工作物責任
民法717条に基づき、建物の管理に瑕疵(欠陥)があった場合、所有者はもし自分に落ち度がなくても賠償責任を負うことになります(「無過失責任」)。
実際、札幌で起きた看板落下事故では、店舗責任者が業務上過失致傷罪に問われ、被害者が全治不能の重傷を負ったことから、巨額の賠償責任が発生しています。
今すぐ確認すべき6つのリスク対策チェックリスト

では、具体的に何から始めればいいのでしょうか。
リスクをゼロにすることは不可能ですが、ここでは私たち専門家が現場で行っている「リスク回避」の視点を、6つのチェック項目にまとめました。
まずはここから始めてみましょう。
□ 消防点検を定期実施しているか?
消防法に基づき、半年に1回の機器点検と1年に1回の総合点検が義務付けられています。
報告を怠れば30万円以下の罰金または拘留が課されるだけでなく、火災発生時に「重過失」を問われる大きな要因となります 。
□ 設備更新スケジュールがあるか?
給湯器やエアコンの寿命は概ね10〜15年 。
故障してからの「事後修繕」は賃料減額や入居者満足度の低下を招くため、退去時や計画年数に基づいた「予防保全」への移行が経営効率を高めます。
□ 火災・地震保険の内容を理解しているか?
単なる加入だけでなく、「施設賠償責任特約」が付帯されているかが重要です。
看板落下や漏水といった「自分の過失以外」の損害をカバーできているか、再確認が必要です。
□ ハザードマップを確認しているか?
近年、水災補償の保険料はエリアごとに細分化され、値上げ傾向にあります。
浸水リスクのある物件では、受変電設備のかさ上げや止水板の設置など、設備面での対策が資産価値の維持に直結します。
□ 契約書が最新法令に対応しているか?
2020年以降の改正民法に対応し、個人連帯保証人の「極度額」が具体的に(例:賃料の24ヶ月分など)記載されているか。
これが欠けている契約は法的保護を受けられません 。
□ 管理費・修繕費の履歴を把握しているか?
適切な修繕履歴(いつ、どこを、誰が直したか)の記録がある物件は、将来の売却時や融資評価において「管理の行き届いた資産」として高く評価されます。
「無理な自主管理」がリスクを高める

「見えないリスク」が現実のものとなり、頭を抱えてしまわれるオーナー様の多くは、
- 委託料というコストをカットするための「無理な自主管理」
- 「まさかうちの物件に限ってそんなことは……」という希望的観測による各種点検の先送り
をしてしまっている傾向があります。
しかし、法定点検を38年間放置し死傷者を出した「ホテルプリンス」の事例は、個人の慢心が重大な犯罪(業務上過失致死傷罪)につながる可能性があるということを示しています。
こうしたリスク管理は“知っている”だけでは不十分で、「継続的に実行できる体制」があって初めて機能します。
予防保全のサイクルと財務の仕組み化
壊れてから直す「事後修繕」から、5年ごとの建物診断に基づく「予防保全」への移行が、長期的には最も低コストになります。
また、大規模修繕に備えた積立を「均等積立方式」で確実に行うことも、将来の積立金不足による“建物のスラム化”を防ぐセーフティーネットとして有効です。
現代的リスクへの法的・技術的備え
高齢化に伴うオーナー自身の「認知症による資産凍結(売却や修繕契約の不能)」には、元気なうちに「家族信託」などの法的枠組みを設定しておく仕組みが有効です。
さらに近年では、センサーによる設備の予防保全やデジタル技術を活用したリスク管理も注目されています。
国の「管理計画認定制度」などの認定を取得することで、資産価値の市場評価が高まるだけでなく、住宅ローンの金利優遇(当初5年間−0.25%など)を受けられるという、直接的なメリットも享受することが可能です。
まとめ
不動産経営における「管理」の本質は、日々の清掃や入金確認だけではありません。
それは、予期せぬトラブルによる数千万円の損失をあらかじめ押さえ込むための「投資」です。
2020年の民法改正や、激甚化する自然災害、そして高齢化に伴う資産凍結リスク。これらの対応の多くは、専門知識と継続的な運用体制が求められるため、個人での完全な対応には限界があります。
SAKURA財産形成承継株式会社では、単なる管理代行ではなく「資産価値を守るためのリスク設計」を専門としています。
オーナー様に、10年後、20年後も資産価値を維持し、安定した収益を得ていただくために、各方面の専門家と連携してサービスを提供します。
リスク対策を始めようと思ったその瞬間が、最も低いコストで対策を行えるチャンスです。
「何から手をつければいいかわからない」という方は、まずは【当社のお問い合わせページ(クリックで別ページが開きます)】より、現状のリスク診断からご相談ください。

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