アイコンCONTACT

column

2025.05.31
デジタル活用と事前準備で実現する“円満な”不動産相続対策とは?

皆さん、こんにちは。SAKURA財産形成承継の大原です。

「相続した不動産のことで兄弟と連絡が取れなくなった」
「親の遺した家をめぐって家族間で争いが起きている」

など、弊社では不動産相続に関する家族間のトラブル相談を数多くいただいています。

実際、令和の現在でも不動産をめぐる争族は増加傾向にあり、生前の「備え」や「情報共有」の重要性はますます高まっています。

しかし、相続トラブルの多くは事前の準備と、少しの工夫で防ぐことができます。

特に、クラウド管理やオンライン会議などデジタル技術を活用した対策は、遠方の家族が多い現代において非常に有効です。

ここでは、

  • なぜ相続トラブル(争族)が起きるのか
  • 今できる備えと対策とは何か
  • 家族間で情報を共有し、安心して資産を引き継ぐ方法

について、実例を交えながらわかりやすく解説します。

なぜ「争族」が起きるのか?

不動産相続をめぐる「争族(そうぞく)」。家族の間でトラブルが起こる背景には、主に次の3つの原因があります。

1. 事前の話し合いや準備が不足している

相続人同士が被相続人(故人)の意思を知らないまま話を進めると、それぞれが「こうしてほしかったはず」と勝手に想像し、意見が食い違いやすくなります。

遺言書がなかったり、財産の全体像が共有されていなかったりすると、感情のもつれや不信感が生まれやすくなります。

2. 不動産評価や分け方に対する認識のズレ

特に実家などの不動産は、思い入れが強く感情的になりがちです。

しかも、不動産には「市場価格」と「相続税評価額」という異なる基準があり、評価額のギャップが相続人間の対立の火種になることも少なくありません。

3. 相続手続きの複雑さと時間のかかりやすさ

2024年4月からは「相続登記(不動産の名義変更)」が義務化され、相続手続きを避けて通ることはできなくなりました。

しかし、必要書類や手続きが煩雑なために話し合いが長引き、その過程で相続人同士の関係が悪化するケースもあります。

Aさんの場合

たとえばAさんのご家庭では、父親が遺した賃貸マンションの相続をめぐり、「売却したい」次男・三男と、「現物で残したい」長男が対立。

結局、長男が他の兄弟の持分を買い取ることで合意しましたが、話し合いには3年以上かかり、家族関係も悪化。

さらに、議論が紛糾しているうちにマンションの市場価格も下がってしまいました。

このようなトラブルを防ぐ手段として注目され得ているのが、デジタル技術を活用した不動産相続対策です。

デジタル技術を活用した相続対策

なぜ今デジタル技術が注目されているのでしょうか?

それはパソコンやスマートフォンを使ったさまざまなデジタルツールを活用することで、相続における情報の「見える化」や「共有のしやすさ」が格段に向上しているからです。

これにより、遠くに住んでいる家族とも情報を簡単に共有できるようになり、「相続のことを、みんなで前もって話し合っておく」ということが気軽にできるようになったのです。

1. クラウド型の財産管理ツールで「情報の共有」をスムーズに

インターネット上に情報を保存できる仕組みを「クラウド」と呼びます。

不動産の権利証や評価額、ローン残高といった情報をこのクラウド上に一元管理することで、離れて暮らす家族でも同じ内容をいつでも確認できるようになります。

これにより、「誰が何をどれだけ相続できるのか」が明確になり、話し合いのベースが揃うため、トラブルの芽を摘むことにつながります。

2. オンライン家族会議で、離れて暮らす家族とも定期的に話し合いを

近年は、パソコンやスマホの画面を通じて、家族と顔を合わせて話せる「ビデオ通話」も一般的になってきました。

Zoomなどの無料のビデオ会議ツールを使えば、遠方に住んでいる家族とも気軽に話し合いができます。

生前のうちに、相続の方向性や不動産の活用方針について定期的にすり合わせておくことで、いざというときに「揉めない土台」ができます。

3. 遺言書や重要書類も、デジタルで安全に保管・共有

遺言書や不動産の権利証(登記識別情報通知)、固定資産税の通知書など、大事な書類は紙のままでは「どこにあるかわからない」「万が一なくなってしまった」というリスクがあります。

これらをスキャンしてデジタル化し、前述したクラウドに保管しておくことも有効です。災害時でも失われにくく、必要なときにすぐ取り出せる安心感があります。

ただし、セキュリティ対策は万全に。パスワード管理やアクセス制限の設定は必須です。

なお、遺言書の中でも、自筆証書遺言書のデジタル保管は被相続人の意思を示すことはできますが、法的な効力発生には原則原本が必要です。

そのため、原本紛失のリスクのない自筆証書遺言書や公正証書遺言を検討する必要があります。

遺言書についての詳しい説明は、不動産相続と遺言書———正しい作成方法と注意点をご一読ください。

Bさんの場合

Bさんの事例では海外在住の妹を含む相続人3人が、「クラウド」の仕組みを利用した財産管理ツールと、月1回のオンライン家族会議を2年間継続。

そのため、お父様が他界された際には速やかに遺産分割協議が進み、わずか2ヶ月で相続手続きを完了させることができました。

デジタル技術を活用して事前に家族の意見を揃えておいたことで、相続手続き後の家族関係も良好なまま話が進んだのです。

相続トラブルを防ぐ事前準備の重要性

デジタルツールの活用と並んで重要なのが、相続発生前からの計画的な準備です。

特に不動産のように「分割しにくい財産」がある場合は、事前準備が何よりの「争族」対策となります。

Cさんの場合

Cさんは、お父様が認知症を発症した後に相続対策を始めようとしました。

しかし既に法的な判断能力が低下していたため、遺言書の作成や家族信託の設定ができません。

結果として相続発生後に相続人間の合意形成が難航し、不動産の活用が3年以上ストップするという事態に陥りました。

このような事態を防ぐために必要になるのが、事前準備なのです。

早めに準備しておくべき4つのこと

  • 財産目録の作成と定期的な更新
  • 相続人への事前説明と合意形成
  • 不動産の評価額の定期的な確認
  • 生前贈与や家族信託などの制度利用の検討

事前準備は「早ければ早いほど良い」という原則を覚えておいてください。特に不動産を含む相続では、被相続人の意思確認ができる状態で対策を進めることが極めて重要です。

「何から始めればいいのかわからない」という方は、まず専門家への相談から始めましょう。

相続と一口に言っても、手続きは相続税対策、不動産活用、登記手続きなど、様々な専門分野の知識・経験が不可欠。

スムーズに進行するためには、早い段階で専門家のサポートを受ける必要があります。

まとめ

相続対策は、被相続人が元気なうちから始めることが理想的です。デジタル技術を上手に活用しながら、家族全員で将来について考える機会を持つことが、円満な相続の第一歩となります。

SAKURA財産形成承継株式会社では、不動産の相続対策から活用方法まで、専門家による総合的なアドバイスを提供しています。

デジタル管理システムを活用して円滑な資産承継を実現した事例など、様々な成功事例がございます。

相続対策でお悩みの方は、ぜひ一度当社のお問い合わせフォームにご相談ください。経験豊富な専門家が、お客様の状況に合わせた最適な解決策をご提案いたします。

pagetop